万里の長城を巡って体力も財布も削られた翌日、いよいよ鉄道で西へ進みます。目的地は蘭州。ここからが本格的な中国鉄道横断の始まりです。
北京西駅から出発
北京西駅はとにかく巨大。中に入るといきなり空港のような雰囲気で、パスポートチェックや荷物検査を何度も通らされます。外国人は有人改札に回されましたが、流れに乗っていたら普通に通れました。
中国の電車は大きく分けて、①高速電車 ②新幹線 ③地下鉄の3種類があります。今回乗るのはそのうちの高速電車の寝台車両、硬臥。昨日までの万里の長城はこの旅における前座のようなもの。ここからが本番だと思うとわくわくしてきます。
寝台車両:硬臥
三段ベッドがずらりと並ぶ寝台列車。僕が割り当てられたのは上段でした。
上段はとにかくのぼりにくい。トイレに行くたびにちょっとした運動ですが、掛け布団もあり、ベッド自体は清潔で快適でした。中国の寝台列車はもっと汚いと思っていたので、これはうれしい誤算。夜10時になると照明が消え、一気に静かになり、しっかり眠ることができました。
特にトラブルもなく快適に過ごせたのは運が良かったからかもしれません。隣人が静かで、ガチャ運に恵まれたのも大きいです。ただ、やっぱり上段は不便だと感じました。誰でもそう思うはずです。
通路側には小さな椅子とテーブルがあり、ここでご飯を食べられます。いくつかの机にはコンセントもついていて充電も可能。車内ではKFCやカップラーメンを食べる人が多く、においを気にせず好きなものを持ち込める雰囲気でした。
車内販売
驚いたのは売り子が頻繁に来ること。お菓子や弁当、フルーツを持って通路を回り、誰にでも声をかけていきます。買わなくても特に問題はないので無視していても大丈夫ですが、落ち着きは少し欠けます。
僕は食事は事前に済ませていたので基本買いませんでしたが、シャインマスカットを買ってみました。味は「まずくはないがうまくもない」。安いスーパーで売っているレベルで、特産品を期待すると肩透かしをくらいます。弁当はどうせ美味しくないだろうと思ってスルー。結論、車内販売は“食べ物に困らない安心感”はあるけど期待は禁物。
蘭州に到着
翌朝、列車は蘭州に到着。窓の外には茶色い山々が広がり、北京の都会とはまったく違う景色です。駅に降り立った瞬間、「遠くまで来たな」と実感しました。
窓から見える蘭州の街並みは、飛行機で上から眺めるのとは違い、地を走る鉄道だからこそ味わえるワクワク感があります。茶色く濁った黄河と乾いた山肌、その隙間に突然現れる高層ビル。このミスマッチこそ「中国に来た」と感じさせてくれる光景でした。
蘭州牛肉麺
朝8時、蘭州に到着してすぐに牛肉麺を食べに行きました。
透き通ったスープはあっさりしているのに旨味が深く、香草がアクセント。薄切りの牛肉もスープと相性抜群で、日本でも通用するレベルの美味しさです。ただ麺は中国あるあるの「太いそうめん」みたいなタイプで、絡まりすぎていてすするのは不可能。それでも食べごたえがあって大満足でした。
値段は300〜400円程度。財布にも優しく、味は一級品。これだけを目的に蘭州に来てもいいと思えるほどの一杯です。
蘭州の街と黄河
食後は黄河へ向かって散策。街は派手さはないけれど生活感があり落ち着いていて、北京よりも個人的には好きだなと感じました。
黄河は思ったより流れが速い。正直、3分見れば満足できるくらいですが、「これが中国を代表する大河か」と思うとそれだけで旅気分はアガります。
三台閣
ホテルチェックインまでまだ時間があったので蘭州駅の後ろにそびえたつ山、三台閣に向かいました。山の上から見渡すと、蘭州の街並みが一望できます。先ほどまで見上げていた中国特有の高層ビル群を眺めることのできる景色としては悪くないですが、「わざわざ登る必要があるか」と言われるとマストではないかなという印象。ただ、タクシーで頂上まで行くことができること、観光客が少なく比較的静かなこと、行き帰りにロープウェイを使用できることを含めると行ってもいいんじゃないかなと思います。ただし、ロープウェイで往復するのはやめた方がいいです。片道30分くらいかかるので暇です。黄河と街を一枚の写真に収めたいならおすすめ。
殿評価
・硬臥(上段ベッド)【★4/5】:清潔で快適。なかなか良き。
・蘭州牛肉麺【★5/5】:安くて旨い。蘭州に来たら必食。
・三台閣【★3/5】:静かで眺めは悪くない。時間つぶしにはおすすめ
初めての硬臥は思った以上に快適で、蘭州牛肉麺というご褒美まで味わえて、旅の楽しさが一気に増しました。次回はいよいよ敦煌へ。砂漠の街でどんな出会いがあるのか、期待を胸に進みます。
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